ガリ勉くんに愛の手を
いよいよ出場者全員による最終公開オーディションがスタートした。

会場には審査員として映画監督や、プロデゥーサー、大物俳優ら、著名人が一挙勢ぞろいしている。

その中に、このCMを企画し審査員長を務める事になったちあきの姿もあった。


この様子は全国のテレビで一斉に放送されている。

舞台の上に司会者が登場した。

「お待たせいたしました。いよいよ、

~CM恋人たちのXmas~
【君に伝えたい…】最終オーディションを開催いたします。

まず出場者を一人ずつ会場にお呼びしたいと思います。」

舞台横で呼ばれる順番を待つ。

僕は後から加わったせいか【エントリー№9】の一番最後だ。

しかも僕の前には健二がいる。

これが何よりのプレッシャーだ。

(落ち着け、落ち着け、これが最後だ。
もう少しで終わる。)

そう自分に呪文を唱える。

「最後の出場者、エントリー№9、大泉勉さん どうぞ!」

会場からは大きな拍手が巻き起こっている。

さぁ、出発だ。

これが僕に与えられた最後のチャンス。

どうか、少しだけ僕に力を与えてください。

どうか…

ゆっくりとその光の中へと歩きだした。
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