ガリ勉くんに愛の手を
「え?!ホンマに?
確か週刊誌には8人しか書いてなかったけど。」

不思議そうな顔で里美も数え直してみる。


―会場では

審査員から出場者に指名で質問が飛んでいる。

(お願い、僕に聞かないで。)

心臓が今にも爆発しそうなくらい緊張している。

よく授業参観で先生が生徒を指名する時、手をあげている人より目をそらしている人を指名する事が多いのを思い出した。

(目をそらすと逆に指名されやすくなる。)

僕は裏をかいで審査員たちの目をじっと見ていた。

予感的中!

一度も僕に質問を投げかける審査員はいなかった。

いや、もしかするとさっきの個別審査で対象外にされているかも知れない。

僕は自分をアピールするチャンスを自分からなくしてしまった。

司会者が前に出て、終わりを告げようとしている。

「それでは審査員からの質問を終了させていただきたいと思います。」

(終わった…)

その時、一人の審査員が手を上げた。

「ちょっと待って。
あと一つだけ質問をさせてください。」

そう言ったのは審査員長のちあきだった。

(えっ?!)

ほっとしたのも束の間、一気に緊張が高まっていく。

「出場者全員に聞いてみたいんですけど。

今回、このCMのコンセプトは【きみに伝えたい】ですが、みなさんには多分好きな人がいらっしゃると思います。

その恋人に向かって自分の気持ちをこの場で伝えてください。どんな表現でも構いません。」

会場内が急にざわめいた。

出場者たちはいきなりの質問に戸惑っている様子だ。

もちろん、僕もその中の一人だが…
< 327 / 401 >

この作品をシェア

pagetop