ガリ勉くんに愛の手を
店についてから僕は一人ボッとしていた。

(あ~、まるで太陽に向かって伸びるひまわりのように…)

心ここにあらず!

その姿を見て佐奈は首をかしげる。

「おっちゃん、あれどないしたんやろうな?」

「さあ、勉強しすぎてついに気が狂ってしもうたか?!」

佐奈もおじさんも僕の頭がおかしくなったと話しているが、今は何を言われても動じない。

頭の中は老人ホームでみかけた[ひまわりさん]でいっぱいになっていた。

その日から僕は毎日のように学校帰り、あそこの前を通る。

(また来てしまった。)

彼女の姿を一目見るために……

辺りを見渡し素早く庭にもぐり込んだ。

泥棒でもないのになぜかかがんだままゆっくりと中の様子を覗う。

窓越しに彼女の姿を探してみた。

(…今日はいないのかな?)

他人が見るとあきらかに[ストーカー]だと思われるに違いない。

[ひまわりさん]に出会った瞬間から今まで感じた事のないときめきを覚えた。

胸が苦しい。
息ができない。
顔が熱い。
脈拍が速い。
頭がボッとする。

この症状はきっと[重い病気]なんだ

と、いつしか自覚するようになっていた。
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