ガリ勉くんに愛の手を
―僕の部屋
いつものように机に向かって勉強に励んでいる。
でも勉強をしている訳ではない。
参考書を開いている訳でもない。
見ているのは医学書。
(…僕は今、重大な秘密を隠している。
この事は誰にも言ってない…
いや、言えないんだ。)
・・・・・・・・
【心臓疾患】
やはりそうだったのか。
表情が次第に強張る。
この年でこんな悩みを一人でかかえるのは耐えがたい事だ。
でも、家族には……
みんなを悲しませたくはない。
最近、急に胸が苦しくなる事がある。
息も苦しいし熱っぽい、脈拍数が増加する。
(僕は今、心臓の病を患っているに違いない。)
自分の体調不良をきっかけに病気について自ら調べるようになった。
もちろん、大学病院の助教授である父や元看護婦の母に聞けば、すぐにでも診てもらえる。
でも、それはできない。
もし、もし本当に心臓病でしかも命の危険があるとわかった時の両親の悲しみ…
(だめだ、絶対だめだ。言えない。
一人息子の僕に何かあったらこの家はどうなってしまうのか!)
僕はまた胸の苦しみに耐えるしかなかった。
(ああ…
パパ、ママ、おばあちゃん。
先立つ不孝をお許しください…)
いきなり何かを思い出したように引出しから紙を用意する。
心臓病はいつ発作が起きるかわからない。
もはや手遅れになる前に書いておかなくては……
いつものように机に向かって勉強に励んでいる。
でも勉強をしている訳ではない。
参考書を開いている訳でもない。
見ているのは医学書。
(…僕は今、重大な秘密を隠している。
この事は誰にも言ってない…
いや、言えないんだ。)
・・・・・・・・
【心臓疾患】
やはりそうだったのか。
表情が次第に強張る。
この年でこんな悩みを一人でかかえるのは耐えがたい事だ。
でも、家族には……
みんなを悲しませたくはない。
最近、急に胸が苦しくなる事がある。
息も苦しいし熱っぽい、脈拍数が増加する。
(僕は今、心臓の病を患っているに違いない。)
自分の体調不良をきっかけに病気について自ら調べるようになった。
もちろん、大学病院の助教授である父や元看護婦の母に聞けば、すぐにでも診てもらえる。
でも、それはできない。
もし、もし本当に心臓病でしかも命の危険があるとわかった時の両親の悲しみ…
(だめだ、絶対だめだ。言えない。
一人息子の僕に何かあったらこの家はどうなってしまうのか!)
僕はまた胸の苦しみに耐えるしかなかった。
(ああ…
パパ、ママ、おばあちゃん。
先立つ不孝をお許しください…)
いきなり何かを思い出したように引出しから紙を用意する。
心臓病はいつ発作が起きるかわからない。
もはや手遅れになる前に書いておかなくては……