ガリ勉くんに愛の手を
―自宅のリビング
「あなた、最近勉の様子がおかしいんです。」
父は新聞を読みながら、母の話を聞いていた。
「成績でも落ちたか?」
「いえ、そんな事はないんですけど……
塾の帰りが急に遅くなったりやけに落ち込んでいるようにも見えるし、何か悩みでもあるんじゃ…
私には何も話してくれなくなって。」
「勉も、もう17歳だ。
思春期だし色々悩みもある年頃なんだ。
ほっといてやれ。」
父は僕や家の事には昔から無関心だった。
大阪に来てますます仕事が忙しいのか家に帰らない日が続いた。
おばあちゃんは父や僕の事でいつも母にいやみを言う。
母はそれを父には言わなかった。
もし言ったとしても「おまえが悪い!」と聞き入れてもらえないに決まっている。
だから我慢するしかなかった。
もはや母の生きる希望は僕しかいない。
(勉だけいてくれたらもう何もいらない。)
母は自分にそう言い聞かせながらじっと耐えていた。
「あなた、最近勉の様子がおかしいんです。」
父は新聞を読みながら、母の話を聞いていた。
「成績でも落ちたか?」
「いえ、そんな事はないんですけど……
塾の帰りが急に遅くなったりやけに落ち込んでいるようにも見えるし、何か悩みでもあるんじゃ…
私には何も話してくれなくなって。」
「勉も、もう17歳だ。
思春期だし色々悩みもある年頃なんだ。
ほっといてやれ。」
父は僕や家の事には昔から無関心だった。
大阪に来てますます仕事が忙しいのか家に帰らない日が続いた。
おばあちゃんは父や僕の事でいつも母にいやみを言う。
母はそれを父には言わなかった。
もし言ったとしても「おまえが悪い!」と聞き入れてもらえないに決まっている。
だから我慢するしかなかった。
もはや母の生きる希望は僕しかいない。
(勉だけいてくれたらもう何もいらない。)
母は自分にそう言い聞かせながらじっと耐えていた。