ガリ勉くんに愛の手を
「勉、もう電車通学はなれた?」

「うん。」

「変な人に絡まれた事はないの?」


「大丈夫だよ。
僕、もう高校生だよ。
子供じゃないんだ。」

「そう、ママ勉が無事に帰るまで心配で……」

母の心配症は昔からだ。

最初は塾まで送り迎えすると言っていたがそれだけはやめてくれと頼んだ。

ちなみに、母の言う変な人とは……


1.道端で生活をしている浮浪者。


2.頭がパンチパーマで派手な服装に光物を身につけている、見るからにヤクザかチンピラ


3.髪が茶髪で、クリクリのカール、耳や鼻にピアスと言う穴をあけていて露出の多い服、高いヒール
世間ではそんな女性を[ギャル]と言うらしい。


やっぱり一番注意するべきは3番目の[ギャル]。

この世の中、女ほど怖いものはない。


僕のような気が弱そうで真面目な男は特に狙われやすい。

色仕掛けで近づいてきてお金を取る手口。


「いい、勉。大阪は本当に怖い人が多いのよ。

特に女性には気をつけてね。

もし知らない女性に声をかけられたら抵抗せず、お金を渡して逃げてくるのよ。

暗いところに絶対ついて行っちゃだめよ。」

と耳にタコができるほど毎日同じ話をする。


こんな話は普通、小学生ぐらいの子供に言う事ではないか?

結局僕はまだ子供扱いだって事。

電車に乗っていると確かに母の言っている3カ条にピッタリの人たちがウヨウヨしている。


だから、なるべく電車に乗っている時は人の顔をジロジロ見ないようにしている。


人をじっと見る事を大阪では「メンチ」と言うらしい。
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