ガリ勉くんに愛の手を
おじさんと僕は無言で佐奈が無事である事を祈った。

「おっちゃん、誰がこんな事を……」

「おれもわからん。佐奈はバイトの時間、遅れた事一回もないんや。
今日に限って連絡なしに遅れたからおかしいと
思って…

行って見たら、もうアイツらに……」

悔しそうに頭をかかえるおじさん。

「おれが、もうちょっと早く気付いてたら佐奈は助かったのに!
あんな連中に汚されて……
俺のせいや!」

おっちゃんは何度も何度も自分を責め立てた。

「そんな事ないですよ。
悪いのはアイツらです。
僕も絶対許せない。」

拳が震えている。

僕の目にも悔し涙が流れていた。

しばらくして処置室の扉が開き、中から看護婦さんが出てきた。

「ご身内の方どうぞお入りください。
先生からお話があります。」

二人で入ろうとしたが、結局僕は入れてもらえなかった。
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