さくらシンドローム
13、好き


体育祭が終わり、一段落した頃。

席に座ってボーッとしていると、ズッキーが話しかけてきた。

「なあ桐生。今月末の日曜日、暇だよな?」

「は?」

「遊び行こうぜ。」

「へ。」

なんてこったい。まさかズッキーから遊びに誘われるとは。

今までズッキーから誘われることは一度もなかった。声をかけるのはいつも俺からばかりで。しかも女の子とのデートがあるとかで10回に1回くらいしか誘いに乗ってくれないズッキーが俺を誘う日が来るとは。

「感慨深いな…」

「は?」

「いや、何も。たぶん暇。遊ぼう。」

「よし、決まりな。何するかはまた今度決めようぜ。」

「おう!」

何故ズッキーが俺を誘ったのか、このときは何も知らなかった。

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