Luck TesT
「お前は何かあったときのために、ここで待機しておけ」

布施はそう難波に言うと、葵と一緒に車から降りて病院内へと駆け込んだ。

「結斗…どうか無事でいて…」

消えそうなくらい小さな声でつぶやく。
二人は静かな病院の中を、看護婦さんに怒られながら、バタバタと駆け抜けた。

エレベーターの前では、点滴をさしたままの患者や、車椅子の人間がたくさん降りてくるのを待っていた。

「階段のほうが早いな。こっちだ」

布施はいうと、くるりと方向転換をしてエレベーターホールをあとにした。
葵もそれに続く。

何階か分の階段を駆け上がったところで、白衣を着た男性と、布施がぶつかった。

「すまない」

布施はそう言って、男性を見た。
すると、男性は小さく舌打ちをしたが、にっこりと笑って、いえ、と短く言葉を発してその場を去っていった。
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