誓~天才演技者達の恋~

不安なままに...



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「楽しんで来て下さい。ユリアさん」

「えぇ、室井にもいっぱいお土産買ってくるわ」


ユリアは旅行鞄を持ちながら、空港に入っていく。

一瞬、変な光景が脳を過ぎった。

カメラのフラッシュを浴びながら、笑顔で手を振る少女。


「だれ?」


ユリアが固まっていると、いきなり手を握られた。

ビックリしながら横を見ると、賢斗だった。


「賢斗...」

「どうした?深刻な顔して...まだ具合悪い?」


ユリアは首を振って、賢斗の後に続く。

賢斗は何も言わずに、ユリアの手を引いていた。


「ロンドン...楽しみ」

「そうだな。」


ユリアは旅行鞄を引きながら、日比野卓也を探す。

平手打ちしたところまでは、ユリアは覚えていた。


「謝らなきゃ...」

「へっ?!」


賢斗に繋がれた右手。

ユリアは振りほどいて、卓也を探す。


「ユリア!」


ユリアはいきなり、賢斗に抱きしめられた。

運悪く、パパラッチが傍にいる。

それを賢斗も知っていたのに、賢斗はユリアの唇を奪った。


「んッ~!!」


賢斗は目を閉じているユリアを、キスをしながら見る。

顔を真っ赤にしている姿に、賢斗はドキリとした。


『大丈夫、まだユリアは...
俺のことが好きだ...』
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