誓~天才演技者達の恋~

卓也がそう言うと、記者達は自然に、車までの道をあけた。

そして何も言わず、卓也は車に乗り込んだ。


「卓也!!何を考えてるんだ?!」


勢いよく車を出す灰田。

卓也は何も言わず、窓からの景色を見ている。


「どこの世界に、自ら破局することを言う馬鹿がいる?!」

「ここにいるよ。
まぁ、これで記者達に嫌われることは無くなった。

俺がこれから、記事で嘘を書かれたり、悪く書かれることは無くなった」


卓也は携帯を取り出して、ニュースページを見る。

すると『緊急ニュース』として、早速書かれていた。


「すごい。10分も経ってないのにこの騒ぎ」

「由梨さんには、伝えてないんだろう?別れたいって」

「なんだ。もう怒ってないんだ」

「諦めだよ。」


灰田の言葉に苦笑いを浮かべる卓也。

卓也はそのまんま、由梨のアドレスを消す。


「言う必要...ないんだと思う。
ほら、元々俺が由梨に本気じゃないこと...伝わってるハズだし...

由梨に本気になろうとしたよ?
でもさ...そう簡単に心って...変わんなかった」

「由梨さんが可哀想ですよ...」

「可哀想?そうかな?
たぶん由梨も想像してたんだと思う。

観客席でユリアを見た瞬間とか。
俺がYuriaとのCM初共演で見せた笑顔とか。

すべてひっくるめて、分かってたんだと思う。
バレてたんだと思う。

俺が菊花ユリアに心が動いていたこと」


灰田はバックミラーで卓也を見る。

その視線に、卓也は合わせた。


「酷い男だな...とか思った?
思ってるんだろうなぁ....。

でもさ、百合亜が死んだと報道された瞬間。

俺の恋心とか、感情とか...すべて死んだようになってさ。

復活したんだ!とか思った時、傍には菊花ユリアがいた。
もう遅かった。

百合亜に似てる似てない以前に、落ちてた」
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