誓~天才演技者達の恋~
卓也は鞄を背負い、裏口へと回る。
しかし、時すでに遅し。
「日比野卓也くんッ!Yuriaちゃんが、白野百合亜っていう噂、本当かな?」
まぶしいくらいのフラッシュが、卓也に降り注ぐ。
これだけの人数がいると、灰田一人で追い払うのは無理だ。
「今こちらでも、菊花プロダクションから話を伺っている状況でして!!」
灰田の叫び声が、地下の駐車場に響く。
卓也は目を細めながら、報道陣の数を数える。
由梨と付き合っている。と噂された時よりも、多い数だ。
久しぶりに白野百合亜のニュースを出して、楽しいのだろうか?
去年は飛行機事故から5年目のクセして、Yuriaのニュースだけで視聴率を取って
ネタが無くなってきた所にこんな話題。
記者達が騒がないハズが無い。
「卓也くん、白野百合亜の話はおいといたとしても、Yuriaちゃんが好きなのは本当?
ってことは、由梨ちゃんとは、別れたってことかな?」
一人の記者の質問で、多くの記者が卓也にマイクを向ける。
灰田が必死に首を振っている。
『言うな、卓也!!』と言っているようだ。
「んだよ。百合亜だけが有名な時は...空港で何しても、何も言われなかったのにさ...」
「ん?何かな、卓也くん」
マイクとフラッシュがこんなにウザイと思ったのは、初めてだった。
灰田は、訴えるように首を振る。
卓也は、また深呼吸をした。
「卓也ッ!!「Yuriaさんが白野百合亜かどうかは、俺にも知りません」
灰田の叫びは、卓也の耳に届かなかった。
記者にもみくちゃにされる灰田。
それでも灰田は、卓也の腕を力強く掴む。
『言うな!言うな卓也!!』という思いで...。
「ただ...歌原由梨とは別れますよ。別にYuriaさんのことが“あれ”だから...っていうワケじゃなくて...
この問題以前に、俺は由梨さんと別れようと思っていたんで...まぁ、ワザワザ発表することじゃないんですけど...
まぁ、一言いいます。
俺は、歌原由梨さんとは別れます」