誓~天才演技者達の恋~
由里亜は鳴り響く携帯を見つめ、立ち往生する。
すると、ドアをノックして、由里亜の父親が部屋に入ってきた。
「どうし...た?ユリア」
「お、お父さん。
大丈夫です。問題はありませんから」
「.......」
「お帰りなさい...です。
ごめんなさい、慣れなくて...
誰かにお帰りとか、ただいまとか最近言ってなくて」
父親の太一(Taiti)は小さく頷くと携帯を拾い上げ、強制的に電源を切った。
「これで、良かったのかな?」
「...はい。
まさか、連絡してくるなんて...
いや、ありえないんです。
死んでるハズなのに......」
「まだ、元気なのかも知れないよ」
「ありえません!!
彼は...卓也はもう、あの時には弱ってた...」
由里亜は携帯を引き出しの奥に突っ込むと、苦い顔をしたまま、階段をおりて行った。
太一はその後姿にため息をつくと、由里亜の机の上に飾られた家族写真を見つめた。
その側には、白野百合亜のサインがビニールに入って、ほこり一つ被ることなく飾られている。
「もう、何年経つことやら...」
太一はそう呟くと、机の引き出しから携帯を取り出した。
電源を入れると、何百回と入った着信履歴。
そしてメール。
太一は電話帳を開くと、ある人物に電話をかけた。
「百合亜!?
百合亜なの?あんたどんだけ...
....誰?」
