誓~天才演技者達の恋~
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城崎賢斗は、明華学園のブレザーを纏った。


香織は明華学園の校章を手渡した。



「トップ生徒...おめでとう。
これからが大変よ。」


「えぇ...分かってます。
果歩さん...元気ですか??」



香織は首を振った。


それは“元気が無い”という意味では無く“連絡が取れない”を表していた。


百合亜が死んだと報道されて数ヶ月目の時。


花坂プロダクションは自己破綻という形となった。


果歩は借金が増える前に事務所をたたみ、また新たにやり直すと言っていた。



「果歩のことだから、あんまり心配していないわ」


「そうですか。
それで、いつ目を覚ますのでしょう??」



香織は「分からないわ」と呟いた。


賢斗は自分の手のひらを見つめた。



「彼女は生きています。
絶対に目を覚ます。

もう一度...俺に笑ってくれます」



賢斗はそう言うと校章をつけて、菊花プロダクションから出た。


香織は後姿を見ながら、果歩の言葉を思い出していた。



「お願い!!
本当は私が引き取らないといけないんだと思う。

だけど、今の私にはその力が無い。

お願い。香織...。
この子にはたぶん..記憶が無いの。


あなたの娘のように育てていい!!
お願い、この子を一人にしないであげて」



泣き崩れながら言った果歩の言葉。

香織はしっかりと覚えていた。



~♪~♪~


事務所内に携帯が鳴り響く。

香織は相手を見て、目を見開いた。



「起きたんですねッ!!」

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