誓~天才演技者達の恋~

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白いワンピースに身を包んだ由梨は、メイクさんにより、ピンクの口紅を塗られ完成した。

由梨はキス顔のような顔をして、卓也の前に立つ。

卓也は何も言わずに、由梨の前からいなくなった。


「チエッ」


賢斗は複雑な思いで、由梨の背中を見ていた。

『私には、卓也しかいないのッ!』

そう言って、賢斗の胸を借りた由梨。

その後は何も話さず、それぞれが仕事に向った。


「ねぇ」


だから、賢斗は少しばかり驚く。

由梨が平然と、賢斗の前に立っていることを。


「携帯」

「はぁ?」

「携帯の電源は切る!常識でしょう?」


賢斗が握り締めている携帯を睨み、由梨はそう言う。

賢斗がポカーンとしていると、由梨は賢斗の携帯を奪い、電源を落とそうとした。


「賢斗くん、来てくれる?」

「あぁ、ハイッ!...由梨、携帯宜しくな」

「えぇ...えぇいいけど....」


美術スタッフに呼ばれて、賢斗は行ってしまった。

由梨はメールを受信している携帯を見つめ、戸惑いの色を見せていた。

自分から奪ったのだから、仕方ないのだけど。


「あっ、嘘ッ...電話なの?」


着信者は菊花香織となっていて、無視するワケにもいか無そう。

由梨は「今。賢斗くんいないんです」と言う事にし、通話ボタンを押した。


「あの、今...」

「賢斗?」

「いや、だから....」

「百合亜、そっちに向ったから。
百合亜が頭を抱えたら、すぐに外に連れ出してね。

日比野卓也が出てる時が、一番危険よ。
じゃ」

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