oneself 後編
そして、あたしのシャンパンコールの番。


慌てて戻って来た哲平に、コウキさんが耳打ちをする。


哲平は、そんなあたしの手を取って、周りにバレないようにそっと指を絡めた。


あたしはその手をギュッと握り返す。


きっと哲平は、今あたしが不安になっている事を分かってくれている。


今月こそは…


初めて心の底から、哲平がナンバー1になる事を願った。


20万のピンドンを1本。


2万ほどのシャンパンを数本。


セット料金も合わすと、総額30万ほどだった。


シャンパンコールが終わると、哲平はあたしの頭を撫でながら、「ありがとう」、そう笑顔で言ってくれた。




それからは、あちこちで次々とシャンパンコールが続いた。


哲平も忙しそうだし、明日は朝から学校だ。


そろそろ帰ろう。


そう思った時だった。


あの子の席で…


あの日ヒナタさんがおろした、100万円のボトルがおりた。


あたしの時以上に、嬉しそうに笑う哲平。


あたしはそれを、ぼんやりと眺めていた。


不安と奥歯を、きつく噛み締めながら。


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