夕 月 夜

「だよね。
おれも、孝太郎兄さんの言ってた事が今になってやっと分かったよ」


優一も、かなりの読書家だ。
俺が初めて此処へ来た時、一緒に足を踏み入ったのは優一だった。

その頃の俺はまちまちだったが、優一はきっと二日に一度は通っていると思う。


「龍馬から聞いたよ。
鈴音に色んな事、教えてやってるんだって?」

隅に置けないね~、健太郎も。と、俺を茶化した。


「何故か知らないが、あいつの反応が面白くてな」


そう言った俺の顔から、自然と笑みがこぼれていたのを優一は見逃さなかった。


「そうかい、よかったね。
健太郎が笑ってるとこを久しぶりに見れて、安心したよ」


俺が笑っている…
久しぶりに?


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