夕 月 夜


有月が、心配そうに私を見ていた。



「何も、言わないで…」

「…うん」



健太郎を想えば想った分、苦しくなってゆく…


私はこんなにも、価値の無い生き物だったんだ。


ただ

『一緒に居たい』

って、思っただけなのに…


ただ そうやって存在するくらいの権利はあるって…、そう信じたかった。



もう 生きて居ても仕方ないってコトなのかな…。


もうすぐ、私は終わってしまうから…
最後まで、一緒に居て欲しかった。


だけど、それは健太郎を苦しめてしまう…。
ましてや、昴お姉様まで。


私には、二人共大切な存在だから…

私が我慢するだけで、みんなが幸せになれるなら、それでいい…。



きっと それが、私の幸せになるんだ。


たった一つの嘘で、たくさんのヒトが幸せに成れるんだ…。


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