最後の恋



『行ってきなよ、美味しいらしいし』



動かない二人の背中をポンっと押しながらそう言ったのは、昨日彼女になったばかりの私だった。


戸惑う椎名の視線には気付いていたけど、目が合わないようにすぐにその場から立ち去って。


私のお昼はコンビニのサンドイッチとカップスープを買って済ませた。



『松永さーん!』



そして休憩を終えて戻ってきた早川さんは、ものすごくご機嫌な顔ですぐさま私に駆け寄ってきて。



『松永さんが行ってきなよって言ってくれたから初ランチデート成功しました!ほんっとにありがとうございました」



とびっきりの笑顔でお礼を言われ、私もなんとか笑顔で言った。



『良かったね』


ひどい温度差だった。

顔では笑って、心では困ってる。


ランチではなく、ランチデートと言った彼女。


椎名狙いは本気なのかもしれない。


そう感じた瞬間だった。


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