最後の恋
「つーか、それより何なんすか?あんた元カレだよな?サトルとかいう」
「何だ、莉奈話してたのか俺のこと。だったらプロポーズの件も聞いてるよな?」
「プ、プロポーズ?」
サトルの言葉に、椎名は黙りこんだ。
「何だ、聞いてなかったのか」
サトルはそう言うと、私の目の前まで歩いてきた。
「本気だから俺。これ、受け取ってほしい」
そして小さな紙袋を私に無理矢理渡してきた。
「困る…断ったでしょ?」
「あぁ、分かってる。でもちゃんと会って莉奈の顔を見て言いたかったんだ。結婚するならお前しかいない」
「勝手すぎるよ…結婚なんて…できるわけないでしょ…」
そう言いながらも、小さな迷いが生まれてきていた。
結婚…したい。
これを逃したら私…
一生ひとりかもしれない。
もしもこの先、私達がうまくいかなくなったりして。
椎名がいなくなってしまったら、私はまたひとりになる。
ひとりで生きていかなきゃならなくなる。
複雑な気持ちだった。
椎名のことが好きなのに…サトルの言葉に揺れている。