最後の恋
「莉奈。俺、絶対幸せにする。もう二度と傷つけるようなことはしない。だから…」
どうしてなんだろう。
サトルのこと許せなかったのに。
あんなにも辛かったのに。
どうしてなんだろう。
真っ直ぐに私を見る目に、ウソなんてないような気がしてきて…
隣に椎名がいるのに、私は迷いながら黙り込んでしまった。
好きなのは椎名。
だけど…心が揺れる。揺れて…悩んでいる。
「今すぐに返事をくれとは言わない。プロポーズの答えはちゃんと待つ。でも、これは受け取っててほしいんだ」
サトルはそう言うと、そっと私の手に紙袋を掴ませた。
「そんな…」
「ダメならその指輪は捨ててくれ。俺の気持ちのケジメだから…返されても虚しくなるだけだし」
サトルはそう言うと、黙って歩き出していく。
視線を落とし、掴まされた紙袋を見ると、ダメ、ダメだ返さなきゃ、そう思うのに動けない自分がいた。