最後の恋


「どうなんだ?最近」


お兄ちゃんはテレビを見ながら私にそう聞いてきた。


「何が?」

「お前も29になっただろ?来年には30だし、そろそろ良い報告とかないのかよ」

「は?ほっといてよ」


私がそう答えると、お兄ちゃんは呆れたように笑う。


「お前結婚する気ないの?」

「…あるわよ」

「彼氏は?出来たのか?」

「……いる…わよ」


そう答えた時、ビックリしたようなお父さんからの視線を感じた。


「じゃあ早く紹介しろよ、親父も母さんもなんだかんだで心配してんだからさ」

「竜二!」


だけどお兄ちゃんのそんな言葉に、お父さんはストップをかけるように大きな声を出した。


「くだらんことは言わなくていい。ほら、遊んでこい」


そしてお父さんがそう言うと、お兄ちゃんはばつが悪そうに子供達の遊んでいる和室へと入っていった。


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