最後の恋
だけど、一階に着くまでのエレベーターの中では。
『佐倉さんって、下の名前なんて言うの?』
『マリア、です』
『へぇ〜っ、カワイイ名前だね』
『え〜っ、そんなことないですよ〜、桐谷くんは下の名前なんて言うの?』
『俺?俺はリュウ』
『へぇ〜っ、リュウ君かぁ。いい名前だね』
桐谷くんと佐倉さんの二人は、お互いの名前のネタだけで楽しそうに声を弾ませていて。
『早川さんは夢花だったよね?』
『ハイ』
『すげーカワイイと思わねぇ?椎名』
『そうっすね、めちゃめちゃカワイイ名前だと思います』
大原くんと椎名もまた、早川さんの名前の話で盛り上がっていた。
……私は場違いだな。
ヒシヒシとそんなことを感じながら、エレベーターは一階に到着。
うぅ……やっぱり無理だ。
そして、扉が開いたと同時に、私は慌てて口を開いた。
『あっ、あの…私やっぱり』
こんなメンバーと今から食事なんて疲れるだけ。
うまく理由をつけて先に帰ろう。