最後の恋



『あっ…すいません、つい…』



桐谷くんに言われたせいか、椎名は慌てて私に謝る。



つい…?

つい、何なのよ!?



『フフッ、別に大丈夫だから。全然気にしてないし』



ほんとはすっごいムカついてるし。

めっちゃくちゃ気分悪いけど。



私は“オトナの女”だからね。


上辺ではこうやって笑みを浮かべて、余裕なフリも出来ちゃうわけ。



「そうそう!松永はこんなことくらいで怒らないって。怒ったところで年齢が変わるわけでも下がるわけでもないんだから。なぁ?松永」


大原くんは私を見てそう言った。


「……そっ、そうよ。怒るわけないじゃない。年齢なんていちいち気にしてられないよ〜」


冷静に笑顔を作り、私はニコリと笑った。



『じゃあとりあえず行こうか。近くのダイニングバー、おさえてあるんだ』


大原くんがそう言って、エレベーターのボタンを押す。


そして、開いたエレベーターにぞろぞろと私達六人は乗り込んだ。



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