水晶の涙



『ねっ、何にもないでしょ?』


「…そう、だな…」


確かに

触っただけだから当たり前だけど、痛くもなければ痒くもない


「クルゥっ!」

抱っこ!…とでも言う様に、両手を上げながら俺を見るぬいぐるみ

その行動に戸惑い気味だったが…


「一度触ってしまえば何の其の」
って言う名言(?)を
誰かに聞いた事がある

今度は触るのに
そこまで勇気は要らなかった


「…どうだ、高いか?」


「クルゥウっ!」

様で言う、'たかいたかい'をやると、両手両足をバタバタと動かすぬいぐるみに

思わず、笑みが出た


「…アリア。」


『?、どうしたの?』


「…やっぱぃぃ。」


にっこりと笑うと、驚いた顔をしたアリアも直ぐに
『なにそれ。』と微笑んだ





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