初恋カフェオレ


そんな私も社会人だ。


そこそこの会社に入り、業務課へと務めることにした。


成績的には、あとバスケットボールが入るぐらいの余裕があった。


パソコンとやらは苦手だったが、なんとかやるしかないだろう。


入って間もない夜、コーヒー片手にそう思った。


湯気が天へ昇りつめていく所をじっと見つめる。


黒い水面は、カップを揺らすのに比例し、波を打つ。


私は、これじゃまだ足りない、と傍らにあったシュガーケースと砂糖の入れ物をとった。


さらさらと実験粉末のごとく投入し、ざらざらした角砂糖もおまけで浮かせ、ぐるぐると魔女のようにかき回した。


最後の仕上げとして、ミルクを少しだけ入れた。


直に砂糖は溶け、ブラックコーヒーはカフェオレへと変わる。


これを飲んだら寝ようか。


眠りへの、一口を呷った。



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