それでも世界はまわる -いつかの夢-
姿が消えるが早いか、美佳は慎吾の背中をバシッとはたく。あまりに響く音で、瑞穂は少し和んでしまった。

「なーに余計なこと言いよるんよ! うちが平井さんたち苦手なのも、カラオケ嫌いなのも知っとるろ!? それに絶対今日ドーナツ食べるって決めとったのに!」

音痴なことは完全に忘れていた。

「わーかった、わかった。待ってるよ待ってます」

子供をあやすかのようにする慎吾に、瑞穂はついに爆笑する。

「ニ、三曲歌ったら即行帰ろうね、むんむん」

ちゃっかり歌うんかい。

「そだね、三十分くらいで切り上げようね」

「そうと決まれば急ごう! ぱっと行ってぱっと終わらせよ!」

二人は早足で駆けていった。

慎吾はそれを見送り、ふと窓の外を仰ぐ。

「曇ってきたなぁ・・・」


   *      *      *
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