カラス君と黒猫さん



「・・・・・・・・・本当・・・・・・・・?」



一際真剣な声色だと思った。

いつもの間延びした黒猫さんの声じゃない。



(・・・・・何かあったのかな)



「・・・うん、うん。ごめん、本当に」



黒猫さんの表情は窺えない。
きっと、複雑な顔をしてるんだと思う。



「あのね、カラス君とちゅーしたよ」

「黒猫さん?!」

「うん。うん。超男前ですぜ」

「ちょっ黒猫さん?!」

「雅も早く所帯持てるように頑張って。んじゃあばいばい」



ぴ、と黒猫さんは電話を切った。



(最後言葉に棘があったような・・・。じゃなくて、)



「・・・・・・何言ってるの・・・・・」

「ん?のろけたくて。アイスあげる。寒くなって来た」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほら、もう。」



黒猫さんのアイスを受け取る。


少し舐めて、俺は言葉を失った。


「新発売の納豆トルコアイス風味だって。美味しいよね」

「・・・・・・・・・・・・・まずい。」



納豆・・・・・。黒猫さんは納豆が好きなのだろうか。




< 193 / 223 >

この作品をシェア

pagetop