カラス君と黒猫さん
「・・・・・・・・・本当・・・・・・・・?」
一際真剣な声色だと思った。
いつもの間延びした黒猫さんの声じゃない。
(・・・・・何かあったのかな)
「・・・うん、うん。ごめん、本当に」
黒猫さんの表情は窺えない。
きっと、複雑な顔をしてるんだと思う。
「あのね、カラス君とちゅーしたよ」
「黒猫さん?!」
「うん。うん。超男前ですぜ」
「ちょっ黒猫さん?!」
「雅も早く所帯持てるように頑張って。んじゃあばいばい」
ぴ、と黒猫さんは電話を切った。
(最後言葉に棘があったような・・・。じゃなくて、)
「・・・・・・何言ってるの・・・・・」
「ん?のろけたくて。アイスあげる。寒くなって来た」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほら、もう。」
黒猫さんのアイスを受け取る。
少し舐めて、俺は言葉を失った。
「新発売の納豆トルコアイス風味だって。美味しいよね」
「・・・・・・・・・・・・・まずい。」
納豆・・・・・。黒猫さんは納豆が好きなのだろうか。