カラス君と黒猫さん
「黒猫さん、家に帰るの?」
「?何で?」
「だって、この前お兄さんに入られたって・・・」
黒猫さんがはっとしたように目を見開いた。
「大丈夫、鍵掛けるし。心配してくれてありがとう」
「・・・・・・ううん」
(・・・俺が気になってるのは、黒猫さんと雅との電話だよ)
「どうしたの、そんなに見ないでよ」
「いや、ごめん・・・・・・・」
人が少なくなった路地。
ここを真っ直ぐに歩いたら黒猫さんの家だ。
取り合えず黒猫さんを家まで送り、電話の内容が気になって仕方が無いから、一回〝LAURA〟に行って雅に話を聞こう。
「ばいばいカラス君」
「うん、ばいばい」
陽気に笑ってみせる黒猫さんが部屋に入っていくのを見送り、俺は駅に足を運んだ。