カラス君と黒猫さん
「もうここの部屋は契約解除してきた。荷物ももう運んであるし、・・・・・どこに行くかは言わないけど」
「え、ちょ、黒猫さ・・・・・・・」
「・・・・・・・・・当麻君、本当にごめんね。母さんによろしく」
ぐい、と腕が引っ張られた。
途端に、黒猫さんは俺を引っ張って階段を駆け下りた。
お兄さんは、追ってこない。当たり前か。
黒猫さんに腕を引っ張られたまま、走って、走って、走った。
「く、ろねこさ・・・・・・・・・」
「ねぇ、学校行こうよ」
こんなに走ったと言うのに、黒猫さんは息の一つ乱していない。
「・・・・が、っこう?」
「お昼ご飯も持ってさ。コンビニ寄ろう」
その表情は嬉々としていた。
・・・・・・・学校。
黒猫さんらしいや。