問題山積み
高嶺の雑草


「エリカちゃん、今日は4番の部屋使ってー」


お、やった。今日は個室だ。
店長に財布を預け、私は気分よく受付の奥へと進む。
大部屋は嫌いじゃないが、個室の方が人に気を遣わなくていいから好きだ。
誰かに気を遣うのなんて、仕事中だけで十分。














私の勤務する「パピヨン」は、いわゆるホテル型ヘルス。
指名が入るまで、女の子はそれぞれ事務所で待機をする。
13畳程度の大部屋がひとつに、2畳程度の個室が4つ。
個室と言っても、元々は大部屋だったところを薄いベニヤ板みたいな壁で仕切ってあるだけ。
それでも、皆でわいわい騒がなくちゃいけない大部屋よりずっとマシだ。
大部屋ではしゃいでいるメンバーは決まっていて、表面上は仲良くしているけど、どうにも馴染めない。
悪い子達じゃないんだけど、何て言うか、ノリが違うんだよなあ…。
大部屋にいる子達は大部屋が好きで、店長に前もって「大部屋がいい」と言ってある。
私は出来る限り個室がいい。店長もそれを察している。
とは言え、出勤者が多ければ、その我が儘が通らないこともしばしば。
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