問題山積み
今流行りのキラキラネームというものですか?
栗だってさ、栗。
命名したのは馬鹿嫁で、馬鹿ほど漢字を使いたがるのはよく分かったが、こんな当て字じゃあまるでヤンキーだ。
しかも弟の顔立ちは私以上に薄く、嫁はゴリラのように凹凸が激しい。
どちらに似ても、姪の“小山舞侖”は悲惨なことになるのが目に見えている。
それなのになぜ誰も止めなかったのかと、未だに不思議でならない。
ふと振り返ると、己の名前の意味など知る由もない1歳の彼女は、嫁に現をぬかしている間抜け面の父親の上で踏ん反り返っていた。
元旦から大層なご身分ですこと、だけど赤ん坊だから許す。
私がビールを買いに行かないと分かった将は、大晦日に私とお母さんで開けた八海山を飲んでいた。
最初からそうしろ、阿呆垂れ。


「千代子(ちよこ)、美和子(みわこ)まだ来ないのかしら?」


お母さんが鍋の中身をお玉で掬いながら呟いた。
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