問題山積み
「そんな指輪、してたっけ?」
涼平の言葉が、心臓に痛く刺さった。
気付かれないだろうと高をくくっていたのは、涼平は女慣れしていない、野暮ったい男だから。
でも、このリングをしている以上はきちんと対策ができている私。
「つい可愛くて衝動買い。可笑しいでしょ?こんなの自分で買うなんて」
首を反らして涼平を見上げ、その細い目を見て、私は答えた。
事実を隠すから、怪しい箇所が出てきた時に詮索される。
嘘として事実をあらわにして見せた方が、相手は疑わない。
そっちの方が俄然うまくいく。
あくまで、私の場合は。
仮にリングをしないで部屋に隠していて、それがばれた時の弁明の方が私には難しい気がする。
なので、敢えて私は大地からのリングをはめていた。
大地も涼平も、私の実家に来させたことは一度もない。