とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
右京はそれが本当にワインなのかを疑ってしまった。
クドラクはクスクスと笑いながら『大丈夫ですよ』と囁く。
『ちゃんと“言い付け”は守ってます。』
『…そうか…。』
確かにそのワインはかなりの上物らしい。
香りの良いそれを飲む右京の隣に座ったクドラクが彼の首筋に手を添えた…。
『…おい…飲み終わるまで待てないのか…?』
右京のぼやきをクドラクは無視して彼の首筋に顔を近付けた。
『…いっ…!!』
首筋に激痛が走り、思わず顔を歪める。
─…カチャッ…
真後ろでドアの開く気配がしてクドラクはその行為を一旦中断して振り返った。
『…な…な…な……』
『おや、またいらいたんですか?』
『貴様、右京に何してんだーーッ!?』
右京は罵声と共に吹き飛ばされたクドラクを唖然と見つめた。
『……えっ?…あれ?虎太郎?』
そこに居たのはまるで鬼のような形相をした天使だった。