イケメン大奥
あたしは部屋を見渡す。
レイは部屋の隅のベッドの上に身体を投げ出し、青いローブの端が肌けるのも構わずに、脚を組んでいる。
「どうされました?」
レイから見えないように着替えたいんだけれど……、
隠れる場所がない。
「や、やっぱり、あたしこの黒服でいいや」
あたしは、レイのローブを返そうとした。
包帯を避けるように腕をレイが引っ張って、強い力にあたしの頭は毛布に突っ込む。
「この包帯はどうしたのですか?」
「これは……話すと長くなるかも」
「話してください」
柔らかな毛布から顔を上げると真近にレイのグレイの髪が頬に触れる。
「きゃ」
思わず大きな声を上げてしまった。
「お静かに、さぁ、その手では大変でしょう、手伝いますよ」
レイが黒服の上着の襟をつかむ。いやおうがなしに、上着を脱がされた。
「詰所の者が、御年寄に逆らう事はご法度ですよ」
明らかに楽しんでいる様子。
レイの短い髪の下の瞳は、意地悪い笑みを含んでいる。
「おとなしくなさい」