イケメン大奥
「本日、わ、わたくしが、上様をつとめます。
この大奥でまた皆さんに会えましたことを嬉しく思います。
今日一日よろしいお願いいたします」
傍らのレイが会心の笑みを浮かべている。
あたしにしては、上様として上出来の挨拶なのだろう。
続けてあたしは宣言する。
「本日は図書室にて調べ物をいたします」
途端に皆の顔が
「げげっ」となるのは、いかがなものなんでしょうか。
あたしの言葉に加えて、レイがフォローする。
「上様は両手首を痛められておる。そこで御小姓はじめ、本日は図書室での 上様の調べものをお手伝いするように」
皆お願いしますう……、
無意識に頭を下げる。
嫌そうな男性たちの表情で、よく分かった。
何だか調べものをするのは、大変なのね。
いい作業ではなさそうなのね。
上様のわがままに付き合わせて悪いと思っている。
けれど、この手首の傷の謎をどうしても知りたいんだ。