イケメン大奥



キヨ……早く戻ってきてよ。


あたしは、携帯のゲームの大奥で遊び始める。



そうでもしてないと、落ち着かないから。



大奥で飲んだアッサムティーのようにはいかないけど、


インスタントの紅茶を入れてみる。




知らない間に、大奥を心の中で求めている。これは、欲?


自己顕示欲(ジコケンジヨク)が、あたしの中にもあって、


あの、沢山の美しい男性に「上様」と認められることを求めている。



ゲームを続けていれば、また広告メールがやってくるかもしれない。


リアルの世界と大奥の世界をつなぐ、唯一の入口。



あたしは僅かな期待に胸をふくらませながら、待つ。


そのとき、広告メールが来た。


今度は急いでゲームを中断して、メールを読む。



最後に、最後にあの「女子禁制、大奥解禁」とあるならば!


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