天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ
「賢しい真似しやがって…」

全身を紅に染めて、宜虎が舌打ちする。

その表情に窺えるのは焦り。

傷は浅くとも、一方的な展開というのは焦燥感を生む。

「豪放な性格かと思やぁ…こういうチマチマした戦術も使うんだな…」

「当然だろう…戦は生き物だ。臨機応変に対処せねばならん。何時でも同じ手で通用すると思うな」

そう言って、川蝉を構える翡翠。

「そろそろ潮時という奴だ」

「…だな」

宜虎もまた、兼重を構える。

両手で柄を握り締め、刀を引き付けるように。

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