天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ
結果。

「うぐぅっ!」

「つぅうぅっ!」

翡翠は兼重の切っ先で脇腹を僅かに抉られ、宜虎は川蝉の鍔元で肩口を斬られる。

互いに渾身、しかし互いに致命傷を与えぬように加減した結果だった。

「あっ、兄上!」

ガクリと膝をつく宜虎に駆け寄る月姫。

「だ、大丈夫ですか兄上っ?あぁあぁ、こんなに血が…」

「屁でもねぇよ…それよかあんまりしがみ付くな…制服が汚れちまわぁ…」

月姫を気遣いつつ、宜虎は翡翠を見る。

…あれだけ脇腹から出血しているというのに、傷を片手で庇うだけ。

翡翠はもう立ち上がっていた。

「化け物め…」

「誰に言っている」

翡翠は隻眼で宜虎を睨んだ。

「その歳でもうこれ程の剣を…末恐ろしい化け物は貴様だ、小僧」

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