天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ
「さて…」

月姫の手を借りつつ、宜虎は立ち上がる。

「俺ぁ妹の手を借りにゃあ立てねぇ…こいつぁアンタの勝ちって事かい?翡翠先生よぉ」

「…俺は一人でいるから一人で立ったに過ぎん。こはくがいれば、俺もこはくの手を借りている…」

いやいや、それはあなたが奥様に甘えたいだけでしょ、翡翠先生?

そんなツッコミさえスルーして。

「勝ったの負けたの揉めていては、もう一戦交えねばならん…ここは引き分けという事にしておけ」

『貴様のような小僧の相手はもううんざりだ』

そう言っているように見えた翡翠に。

「違ぇねぇ」

宜虎もニッと笑った。

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