天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ
「月姫」
両断された木刀。
それを見ながら、宜虎は妹に声をかける。
「ちと頼まれちゃくんねぇか」
「何をです?」
キョトンとする月姫を前に、宜虎は顔を上げる。
「家に戻って、兼重を取って来ちゃくんねぇか」
「兼重っ?兄上の愛刀の『上総介兼重』ですかっ?」
月姫が声を上げた。
上総介兼重。
新刀上作にして良業物だが、天神学園では『天神学園大業物』として数えられる。
作柄としては、虎徹に似る。
宮本武蔵や、新撰組の藤堂平助の愛刀だったという。
浪人身分であった藤堂平助が上総介兼重を愛刀として使用できたのは、伊勢津藩藤堂和泉守高猷の落胤だったからという諸説あり。
元々宜虎の所有する愛刀だったが、彼が少々荒れていた頃に藤原翁に取り上げられ、以来実家に封印されていたのだ。
両断された木刀。
それを見ながら、宜虎は妹に声をかける。
「ちと頼まれちゃくんねぇか」
「何をです?」
キョトンとする月姫を前に、宜虎は顔を上げる。
「家に戻って、兼重を取って来ちゃくんねぇか」
「兼重っ?兄上の愛刀の『上総介兼重』ですかっ?」
月姫が声を上げた。
上総介兼重。
新刀上作にして良業物だが、天神学園では『天神学園大業物』として数えられる。
作柄としては、虎徹に似る。
宮本武蔵や、新撰組の藤堂平助の愛刀だったという。
浪人身分であった藤堂平助が上総介兼重を愛刀として使用できたのは、伊勢津藩藤堂和泉守高猷の落胤だったからという諸説あり。
元々宜虎の所有する愛刀だったが、彼が少々荒れていた頃に藤原翁に取り上げられ、以来実家に封印されていたのだ。