天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ
震える声でその全文を読み上げるアルフレド。

「あらあらまあまあ」

月はコロコロと笑う。

「編集長さん、また随分と煽る文章ですね」

月の言う編集長とは、天神学園高等部学年不明のヴリトラ。

本名なのか何なのかさえわからないその名は、古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』などで伝えられる巨大な蛇。

その名は『障害』、もしくは『宇宙を塞ぐ者』を意味する。

まさに生徒会長、そして生徒会に対する障害として、これまでも何度かこのような記事を書いてきたのだが、生徒会長たる月をピンポイントで狙ってきたのは今回が初めてだ。

「おのれ、あの蛇め…」

ギリ、と歯噛みするアルフレドに。

「いいじゃありませんか」

月はうろたえる様子もなく笑みを浮かべる。

「私も白蛇なんて称される事もありますし」

その盲目が細まる。

「いい機会ですし、どちらが天神学園一番の蛇なのか決めるのも一興でしょう?」

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