L×L
矢澤くんに壁に押し付けられた。

え?何これ。て…てか、なんか顔…近くない?



「今日のお前、すっごい嫌い」


「なっ…は?」



嫌い?今日のあたし?



「意味分かんな…」


「イイ人ぶってイイことしたー、みたいな顔してさ…。お前、分かってる?」



顔に息がかかる距離…。

心臓の音、ヤバい…。聞こえてない…よね?



「な…何が?」


「誰かのために何かするってことは誰かの望んでないことをするってこと。誰かにイイ人って思われても、結局誰かには嫌われるのに…なんで無駄なことすんの?お前は篠原のためにやったことなんだろうけど、それは俺のためにはならないんだよ」



矢澤くんのため…?なんであたしがそんなこと考えなきゃいけないのよ。



「…」


「ぶふっ」



ぶふっ…?



「何その顔。すげぇマヌケ」


「なっ…」


「そんな深刻な顔しなくていいよ」


「は?さっきからあんた意味分かんな…」


「俺が言いたいのは…」



たぶん…この時。



「俺のこと嫌いって言った時のお前が一番お前らしくて好きってこと」



真っ暗な教室…ステンドグラスの光がとってもキレイで…

あたしが矢澤くんを好きになった瞬間…。

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