L×L

ステンドグラスとドキドキ

文化祭当日。



「いやー、ギリッギリだったけど…仕上がったね」


「なんか自分頑張ったみたいに言ってるけど、香那やってないじゃん」


「だってー。結衣と田原くんがラブラブだからー…」


「はいはい」


「ごめんね。あたしもなかなか手伝えなくて」



麻里奈ちゃんは矢澤くんとずっと一緒にいたしねーと言いたいけど、その申し訳ない顔には言えない。


文化祭の展示…。

あたしは香那と麻里奈ちゃんと見て回ってるけど、カップルで回るのってどんな気分なのかな…。



「結衣!!矢澤くん達はっけーん!!」



うわー…。女子に囲まれてますねー。

さすがテニス部爽やかイケメン集団。



「ねぇ結衣!!あたし高瀬くんと回りたい!!」


「は?」



いきなり何を言いだす?



「あたし、高瀬くんが好きなの」


「えっ…?あんた矢澤くんがタイプとか言ってたじゃん」


「いやー。結衣と矢澤くんがいい感じだったからさー」



どこが?



―俺もお前みたいなの大嫌い―



あぁ…嫌なこと思いだした。

あんなこと言っといてそのあともウザいくらい絡んでくるし…。

矢澤くんって本当に意味不明…。

って…何あいつのこと考えてんの、あたし!!



「さっきは田原くんとラブラブって言ってませんでしたか?」


「どっちでもいいのよ。とにかくあたしは高瀬くんにひかれたの」


「はぁ…」



香那のこの台風のような気性には本当に驚くよ…。


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