L×L
てなわけで高瀬くんを誘ったわけですが…。



「え?俺と?でも、矢澤と田原と…」



ですよねー。いきなりすぎますよねー。



「行ってやれよ。男ばっかでもむさいじゃん」



矢澤くんが高瀬くんを香那の方へ押しやった。

なんとびっくり。

こいつに人を思いやる気持ちがあったのか?



「矢澤くん!!ありがとっ。行こう!!高瀬くん」



矢澤くんが香那のために…。怪しい…。



「お前、怪しいとか思ってんだろ?」



図星―。超能力者ですか?



「ねぇ。あたしたちも男女1組で回ろうよ」



何を言い出すんですか?麻里奈ちゃん!!



「えー。やだ…。…?」



…。もしかして、麻里奈ちゃん…。



「あたし、田原くんと回りたいな」



我ながらすごいこと言ったと思います、はい。



「え?」



矢澤くんと田原くんがハモった。



「いいでしょ?田原くん?」


「えっ。えーっと…いいけど」



田原くんって女子と話すの苦手なのかなぁってよく思う。



「よし、決まり!!じゃあ、矢澤くんと麻里奈ちゃんは2人で回ってね?」


「うん。分かった。じゃあ仲良くね?結衣ちゃん」



よかったー。麻里奈ちゃん嬉しそう。



「待てよ」



矢澤くんに手をつかまれた。



「は?何?」


「俺、お前と回りたいなぁ」


「は!?」



何言ってんの、こいつ…。



「いや…あたしは田原くんと…」


「じゃあ、別に4人でもいいじゃん。なんで分かれる必要があんの?」


「や…矢澤くん。結衣ちゃんの気持ちも察してあげようよ」



こっちは麻里奈ちゃんのためを思ってやってんのよ。気づけ、バカ!!

モテ男のくせに鈍感なわけ!?



「あたしは田原くんと2人で回りたいの!!バカ!!」



あたしは田原くんの袖を引っ張って矢澤くんから逃げた。
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