ハーレム ブラッド
「だぁーっ!

良いって!!」

「でも…」

「お前とは付き合いとしては短いけど…

簡単に土下座なんかする奴じゃないってのは知ってる。

そのお前が土下座するのがどれほどのことか…わかってるつもりだ。


咲子もなんとか説得するから、な?


許すから、土下座はやめろ。」


ぽんっ。

幸大がしゃがんで姫野の肩に手を置いた瞬間…



ドサッ…

姫野が幸大を押し倒した。


「え?

…ん!?」


姫野が幸大の唇を奪う。


「ん…。

ふぅっ。」

姫野が唇を離す。

「榊?」

「土下座だけで許されるなんて…私の気がすまないわ。


だから…

私の全てをあなたに捧げるわ。」


「何を…」


「体も、命も、心も…

だから…血と、少しの愛情くらい私に与えなさい。」


「榊…」

「名前で呼びなさい。」

「…。

姫野…」

「吸血鬼に惚れられたあなたが悪いのよ?」

姫野の唇が再び幸大の唇に近づく。


「許しを乞うとか、全てを捧げるとか言いながら唇を奪うとは何事ですか?」


「咲子!?」

校舎裏の木の上に立つ蒼月の眼の吸血鬼が2人を睨む。


「あら…

邪魔が入ったわね。」

姫野が言う。

「この程度でケジメのつもりですか?」

咲子が木から飛び降りた。
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