ハーレム ブラッド
姫野のアプローチは休み時間ごとに行われた。


そして昼休み



「幸大…聞いて良いか?」

幸大と机を付けて弁当を広げる行正が言う。


「何も聞くな。」

「いや…

何で榊さんが俺たちと弁当を…」

「あら…迷惑だったかしら?」

「いえ、滅相もない!

むしろ、俺たちなんかと一緒だなんて勿体ないくらい光栄です!!」

「そぉ?

なら、食べましょう。」

「はい!!」



「…はぁ。」

幸大が溜め息を吐く。


「まぁ…本当に食べたいのは、

幸大君だけど。」

姫野が言う。

「な!?

幸大!

なんでお前だけ!!」

「いや…榊は俺を食べたいって言ったんだぞ?」

「食べたいってのはつまり男女間でのアレをするヤツだろ!?」

「間違うな。

そして興奮もするな。」

「だってよぉ!」

「榊の食べたいは比喩じゃない。

真面目に食事をしたいって意味の『食べたい』だ。」


「…え?」

行正には理解不能だった。

「ほら、カマキリだって結婚したオスを食べるのよ。

それと似たようなモノだし良いじゃない。

死ぬわけじゃないんだし。」


「行正、早く食わないと昼休みが終わるぞ。」

「あ、ああ。」
< 16 / 500 >

この作品をシェア

pagetop