ハーレム ブラッド
「いつ、暴発するかわからない…か。」


幸大が歩きながら言う。


「あら?

ふぅん。」

見知らぬ女性が幸大を見つめる。


「な…何か?」

綺麗な女性。


「ふふっ…可愛い坊やね。」

「用がないなら退いてくれ。」

幸大が言う。


「あなた、吸血鬼のお友だちがいるの?」

「え?」

「その首筋の傷。

吸血鬼に血を吸われた跡ね?

面白いわね…

動脈から血を吸われてるわ。」


「だったら…何なんだよ?」


「ストレス?

イライラしてるみたいね。」

「…。」

「お姉さんに血をくれるなら…ストレスも何もかも発散させてあげるわよ?

坊やにはちょっと刺激的なことをしてあげるわ。」


「ふざけたことを…」

ドクンッ!

「な!?」

幸大が頭を抑えた。

「どうかしたの?」


「いや…


あ…」

女性の眼は黄色く光っていた。


「私と楽しみましょう?」

幸大の頬を女性が触る。

「…。

(なんか…

頭がぼーっとして…

でも、何かを忘れてる?)」

女性の唇が近くなる。


「(キス?

女性?

…。

欲しい…)」


幸大の手が女性の頬に伸びていく。


「あら、キスの経験はあるの?


良い子ね。

優しくしてあげるわ。」


キスする寸前。


「幸大君!!」


「はっ!!」


バッ!

幸大が女性から飛び退く。


「優衣さん…」
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