ハーレム ブラッド
「歯医者を嫌がる子供の半分くらいはわかってるんだよ。」

幸大がさらに強くマリアを抱き締めた。


「行かなくちゃいけない。

行くしかない。

行かないと、虫歯もなおらない…


選択肢は1つしかないに…それを選びたくない。


でも…その歯医者に言ってもなおらない可能性が高いんだよ…


歯医者に行けという人は…なおらない可能性が高い。

だが…」


「私がそんな状況なら決して歯医者には行きません。

だって、虫歯を我慢するだけですよね?」


「…。

いや…その歯医者ってのが、虫歯の治療がしたくてたまらないんだよ。


だから、虫歯じゃない患者が来ても虫歯の治療をしようとして患者を殺してしまうんだ。

だから虫歯の患者であるその子供が行く以外に手はないんだ。

その歯医者は放っておくと次々と殺してしまうから…


そして、その世界で唯一、その子供だけが虫歯なんだよ。」

「幸大君…」

桂木が頭を撫でる。


「な!?

優衣!?」

「私は幸大君より大人だから幸大君を撫でる権利があります。」

桂木が言う。

「いや…権利って…」


幸大の携帯が鳴った。

「榊さん?


もしもし…」

『幸大君…例の怪物が日本に来た。』


バババババ…

ヘリコプターが屋上に近づく。

そこから電話をもったまま榊パパが姿を見せる。

『乗ってくれるかね?』

「…。

はい。」

「幸大さん…何処に?」

咲子が言う。


「ちょっと歯医者まで行かなくちゃな。

じゃあな。」

幸大がヘリコプターの梯子に掴まるとヘリコプターが飛んでいった。
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