ハーレム ブラッド



クーニャと姫野は帰り、後は寝るだけ。


「…。」

幸大が部屋に敷かれた布団を見る。


布団は二組離れて敷かれていた。

部屋の端と端。

真ん中にはそれなりの空間がある。

「咲子…」

「はい?」

「なぜ俺の布団に入っているんだ?」

「布団を温めているんです。」

「お前は秀吉か!」

「人肌ですよ?」

「良いから退け。」

「男なら一緒に寝ようの一言くらい言ってはどうですか?」

「お前のために買った布団だ。

そっちの布団でありがたく寝やがれ。」

「…ケチですね。」

咲子が自分の布団に戻る。

「電気消すぞ。」


部屋が真っ暗になる。

「…。」

幸大が布団に入る。


「温かいですか?」

咲子が言う。

「ああ。


つーか、これからの季節は夏だ。

布団を温めなくていい。」


「…。」

「咲子?」

モゾモゾ…

「うぉっ!?」

「失礼します。」

咲子が幸大の布団に潜り込む。


「今すぐ戻れ…」

ぎゅっ。

咲子が抱きつく。


「な!?」

「たまには良いじゃないですか。」


「たまにはってほど長い付き合いじゃない。」



「血も吸いませんし、寝込みも襲いませんから、良いじゃないですか。」

「…。

そういう問題じゃなくてだな…」

「おやすみなさい。」


「…。


俺が寝れないだろーが…」
< 55 / 500 >

この作品をシェア

pagetop